佐屋(さや)街道は東海道の脇道であり、津島神社詣での参拝客も通った主要な道。
桑名への渡し船が出る佐屋宿(じゅく)は大いに賑わったそうです。
俳聖・松尾芭蕉も立ち寄り、句を詠んだという当時の佐屋宿に思いを馳せながら、ゆかりの地を訪ねることができます。
佐屋街道は、宮宿(名古屋市熱田区)から佐屋宿まで陸路で六里(約24km)、佐屋宿から桑名宿までは川船による三里の渡しの道のり。津島神社への道と重なる部分は、津島街道とも呼ばれる。
東海道は、宮から桑名まで海路で七里の渡しを行くが、天候次第で船が出なかったり、船上での盗難も多かった。そのため、船酔いや犯罪を心配する人や女性・子どもの旅人は、陸路は長くても船旅が短い佐屋街道を利用することが多く、渡し船の起点となる佐屋宿は賑わった。
●ゆかりの人物 松尾芭蕉(1644~1694年)
晩年に佐屋宿の門人・山田庄左衛門の屋敷に泊まり、「水鶏(くいな)啼(な)くと人のいへばや佐屋泊(どまり)」の句を詠んだ。水郷・佐屋は古くから水鶏の生息地。水鶏好きの芭蕉は、この地に惹かれて泊まることになったという内容の句。
1. 水鶏塚(くいなつか)
芭蕉が亡くなってから40年余り経った1735年、芭蕉の遺徳を偲んで同好の有志が句碑を建て「水鶏塚」と名付けられました。 |
2. 埋田の追分(うめだのおいわけ)
津島神社の一の鳥居(昭和34年の伊勢湾台風で倒れて台石のみ)と常夜灯、追分をあらわす道標があります。右は津島神社への道、左は佐屋街道へと分かれる場所だったとか。住宅街の道路に静かに残っており、歴史を感じることができます。 |
江戸時代の津島名物「重箱うどん」を受け継ぐそば処・そば懐石料理店。緑の美しい庭園には、かつて芭蕉直筆の句が掛けられていた茶室「水鶏庵」(国の登録文化財)を佐屋から移築。敷地内には紅茶専門店・ギャラリーの機石荘(きせきそう)もあります。 ※庭園を眺められる座敷は予約したほうがよい。
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3. 天王川公園(てんのうがわこうえん)
江戸時代まで街の中央を流れていた天王川が、現在は公園内に池として残っています。桜や藤、紅葉など四季折々の風景が見事な、市民の憩いの場。広々とした池のほとりを散歩する人も多く、リラックスできます。 ●天王まつり 7月第4土日曜に天王川公園で開催される津島神社の祭礼。巻藁(まきわら)船や車楽(だんじり)船が有名で、華麗さと勇壮さを誇る日本三大川祭りの一つ。
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4. 津島神社(つしまじんじゃ)
6世紀中頃の創建と伝えられる、全国に3千以上も点在する津島神社の総本社。「津島さん」「天王さん」などと親しまれています。古来、疫病・厄除けの神とされてきたそうです。 |
ウォーキングをもっと楽しみたい方のために、“+α”のコースをご紹介します。
天王川公園内を歩き、津島神社の門前の町をめぐると約8.6kmのコースが約9.9kmのコースになります。
地図中、青色の線と青のポイントで表示させています。
津島神社周辺は名所旧跡がたくさんありますので、健脚に自信のある方はさらにプラスして町を探検してみてはいかがでしょうか。
車河戸(くるまこうど)
車とは天王祭の祭船のこと。祭当日は、車河戸に車をつなぎ止め、ここから車をこぎ出します。車に載せる屋形は、祭り以外の時も車河戸に置かれ、一年中見ることができます。これは江戸時代からのしきたりなのだそうです。 |
円空作木造千体仏(えんくうさくもくぞうせんたいぶつ)
道路脇の地蔵堂にある、円空最盛期の千体仏。本尊の地蔵菩薩像を中心に5~7cmの木造の仏像1008体がびっしりと並んでいます。各地を行脚し、素朴な仏像を数多く残した円空。その作品のなかでも完全な形で残る千体仏は貴重です。
※千体仏が御開帳されるのは旧暦の地蔵盆(8月24日)と、ゴールデンウィーク中の1日(不特定)のみ。
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