瀬戸街道の東端に位置し、千余年の伝統を誇る「やきもの」の街、瀬戸市。
長い歴史を物語る事物や、心躍らせる新しい陶都の姿を体感しながら、趣きのある街をぐるっとひと巡りするコースです。

瀬戸街道とは?

名古屋城下から尾張旭を通り瀬戸に向かう瀬戸街道は、江戸時代の中頃まで、沿岸部で取れた塩を信州に運ぶ道の一つとしての役割がありました。江戸末期には、瀬戸で焼かれた「せともの」を名古屋に運び、名古屋から生活物資を運ぶ交易道路として使用されたそうです。「瀬戸街道」という呼び名は江戸時代の書物にはなく、明治期に県道の名前になってから定着したのではないかといわれています。

[Point] 陶祖・藤四郎(加藤四郎左衛門景正(しろうざえもんかげまさ))

鎌倉時代に中国(当時の宋)に渡りやきものづくりを学んで帰国。各地で試し焼きをした後、瀬戸の土の質が良かったことからこの地に陶業を開いたといわれています。

1. 深川神社

771年創建。千年以上昔から、瀬戸の産土神(うぶすながみ)として親しまれてきました。宝物殿(有料)には国の重要文化財「陶製の狛犬」が安置されています。隣接する陶彦(すえひこ)神社では陶祖・藤四郎が祀られており、毎年4月の「せと陶祖まつり」では奉献の儀式が行われます。

▲拝殿正面の織部瓦が目を引きます。

2. 陶祖公園

▲陶祖碑の高さは4.1mで
日本最大!

陶祖・藤四郎の業績を讃え幕末に建てられた陶製の六角陶碑『陶祖碑』(市指定文化財)を中心とした公園。

緑豊かな小高い丘となっており、息を弾ませて登りきれば、瀬戸市街を一望できます。

3. 窯垣(かまがき)の小径(こみち)

窯垣とは、窯道具を積み上げて築いた石垣や塀のこと。「窯やきさん」(窯元)が密集する瀬戸市洞町には多数の窯垣があり、かつては小径を陶磁器を運ぶ荷車や担ぎ手が行き交いました。

旧家を活用した窯垣の小径資料館も見どころです。

▲すれ違うのがやっとの細い小径に、美しい模様の窯垣が。独特の風情がある散歩道です。

窯垣の小径資料館

■10:00~15:00
■水曜休、お盆・年末年始休
■入館無料

4. 瀬戸蔵(せとぐら)



▲旧尾張瀬戸駅や車両がすっぽり。スケールの大きさにびっくり!

瀬戸蔵ミュージアムでは、復元された「せともの」工場や輸送に使った「せとでん」の車輌の実物を展示。「瀬戸の20世紀」の様子が迫力満点に再現され、まるでタイムスリップしたかのよう。

和洋食器や土産物のショップ(瀬戸蔵セラミックプラザ)やレストランなどもあり、ウォーキングの起点終点や休憩にぜひ立ち寄りたいスポットです。

瀬戸蔵ミュージアム

■9:00~18:00(入場は17:30まで)
■年末年始休、月1回程度臨時休館
■入館料 一般500円 高大生・65歳以上300円

瀬戸蔵セラミックプラザ

■10:00~18:00
■年末年始休、月1回程度臨時休館

招き猫ミュージアム

日本最大の招き猫専門の博物館。郷土玩具から日用雑貨まで、数千点の招き猫コレクションを展示しています。
瀬戸は、明治期に日本で最初に招き猫の量産をした街でもあるそうです。産地による猫の表情・姿の違いを見るのも面白く、時間を忘れてしまいそう。

■10:00~17:00(入館は16:30まで)
■火曜休(祝日の場合は開館)
■入館料 大人300円
※ミュージアムショップは無料

招き猫の絵付け体験は
800円(送料別)。
焼き上がり後は
一回り小さくなります。

▲見入っているうちに、ついニコニコと笑顔になります。

ウォーキングをもっと楽しみたい方のために、“+α”のコースをご紹介します。

名鉄尾張瀬戸駅から、窯神神社と無風庵を回ってからオススメコース(4.4km)に進むと、合計約5.6kmの健脚コースになります。
距離はそれほど長くありませんが、アップダウンがあり、ほどよい運動量になります。

地図中、青色の線と青のポイントで表示させています。

窯神神社(かまがみじんじゃ)

江戸時代に九州に渡って磁器を学び、瀬戸に伝えた磁祖・加藤民吉を祀る神社です。お社は登り窯をかたどっています。民吉の銅像もあります。高台に位置し、駐車場のあるところから北側を眺めると、遠くまで採土場が広がっているのがわかります。


▲磁祖・加藤民吉像

無風庵(むふうあん)

美術工芸家・藤井達吉(ふじいたつきち)ゆかりの茅葺きの草庵を小原村(現・豊田市)から御亭山(おんちんやま)に移築。名前は達吉の雅号「無風」に由来しています。達吉に師事した陶芸家たちの名品も展示され、ちょっと一息、休憩することもできます。

■10:00~15:00
■入室無料
■水曜休

今までに掲載した「愛知県内ウォーキングコース」がご覧いただけます

※掲載内容は平成27年12月取材時のものです。