江戸時代、沿岸でとれた塩を信州へ運ぶ道として使われた塩付街道。
近くには桜の名所・山崎川もあり、春の散策にぴったりのコースです。

塩付街道とは?

名古屋市南区本星崎町一帯では、江戸時代の中頃まで塩作りが盛んでした。とれた塩は、千種区古出来辺りに集荷され、遠く信州まで馬で運ばれており、本星崎町から古出来までの約10kmを塩付街道と呼んでいました。

現在の塩付街道周辺は開発が進み、往時の風情を残すところはほとんどありません。しかし、街道筋には道中の安全を祈った馬頭観音や地蔵菩薩の一部が残り、地域の方々によって大切に守られています。

1. あゆちの水(伝承地)

尾張名水の一つで、万葉集に詠まれた「小治田(おわりだ)の年魚道(あゆち)の水」であるとの説があります。また、日照りが続いても水が枯れなかった井戸とも伝えられます。昭和52年に地元の有志で碑を建てるなどして、現在の形に整えられました。あゆちは「あゆち潟」に由来する言葉で、「愛知」の語源となっているとか。

2. 山崎川の桜並木

(平成20年撮影)

山崎川は、「さくらの名所100選」に認定される全国有数の桜の名所です。石川橋から新瑞橋(あらたまばし)まで約2.8kmの両岸に約630本のソメイヨシノの並木が続きます。桜の期間中、ライトアップが行われ、夜桜風景も見事です。

3. 東山荘(とうざんそう)

大正時代、綿布商・伊東信一氏の別荘として約3,600坪の敷地に建てられました。氏の遺言により名古屋市が寄贈を受け、現在は庭園が無料で公開されており、国の登録有形文化財の建物も庭から見学できます。

  • ■9:00~16:30
  • ■月曜休(祝日の場合は翌平日休)、年末年始休
  • ■庭園見学は予約不要で無料。
    館内利用は貸室(要予約)のみ。
  • ■052-831-2672

▲木々に覆われた庭から建物を見学。

4. 名残の松

街道沿いに古い大きな2本の松が見られ、「塩付街道の名残の松」といわれています。

5. 馬頭観音(ばとうかんのん)

江戸時代には馬で荷を運ぶ人たちが「中馬」という同業者組合を作っていました。馬頭観音はこの時代の特徴的な文化で、傍らには「馬接待水」があったそう。長旅を共にした馬へのいたわりを感じられます。

塩付街道沿いのあちこちにみられ、道中の無事を祈った人々の想いが偲ばれます。

▲さらに進むと「みやみち地蔵」様にも会うことができます。

山田餅本店

昭和2年の創業以来、80年以上愛される老舗。毎日、つきたてのおもちと繊細な手仕事が光る和菓子が店頭に並びます。
定番の大福、豆大福、おはぎ、草もちをはじめ、季節の和菓子などを買い求める客が次々に訪れる人気店です。

■9:00~19:00
■火曜休(祝日は営業)
■052-841-1501

ウォーキングをもっと楽しみたい方のために、“+α”のコースをご紹介します。

オススメコース(約4.1km)に、地下鉄御器所駅まで塩付街道をたどるコース(約1.6km)を加えると健脚コース(約5.7km)になります。

地図中、青色の線と青のポイントで表示させています。

白山社(はくさんしゃ)

明治時代になってから隣の善昌寺(ぜんしょうじ)から分離されました。祭神は「菊理姫命(きくりひめのみこと)」。近くの古観音廃寺跡から出土した奈良時代の鬼瓦(市指定文化財)が社宝として保存されています。昔、若者の力比べに使われたという力石も残っています。白山社の近くには黒塀なども見られ、昔の街道の面影がかすかに残っています。


▲今も残る「力石」。

石仏の地蔵(いしぼとけのじぞう)

街道沿いのマンション敷地の角にお堂があります。ひっそりと立っていますが、お堂の前にはきれいな玉砂利が敷かれ、地元の方々に大切にされているのがわかります。

今までに掲載した「愛知県内ウォーキングコース」がご覧いただけます

※掲載内容は平成28年2月取材時のものです。